近年、日本各地で地震が相次ぎ、大地震に関する誤報も大きなニュースとなりました。
地震はいつ、どこで起きるか分からず、日頃からの備えが欠かせません。
昭和の歌謡界を代表する歌手・藤山一郎も、少年時代に関東大震災という大災害を経験しています。
自伝には、震災の混乱や家族の不安、そして大切な楽器を失った悲しい記憶が記されています。
今回は「藤山一郎シリーズ番外編2」として、12歳の藤山一郎が関東大震災で何を体験し、何を失ったのかを自伝から読み解きます。
藤山一郎が関東大震災に遭遇!小学6年生の夏を襲った大地震とは?
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1923年(大正12年)9月1日、関東地方を未曽有の大地震が襲いました。
当時、藤山一郎は12歳。
自伝では、小学6年生として過ごしていた夏休みの出来事として、震災当時の記憶を振り返っています。
”(母から頼まれた私は銀行で)預金をすませ、通帳を受け取ったとたんだった。ふいに足元が揺れ始めたのである。一瞬、私には、それが何であるかわからなかった。が、つぎの瞬間、カウンターの正面にあった二メートルほどの巨大な柱時計が、凄まじい大音響を立てて床に落ちた。「じ、地震だ!」とだれかが叫んだ。あとは居合わせた客や行員たちの悲鳴!そのとき私は絣(かすり)の着物に朴歯(ほおば)の下駄をはいていたから、とても立ってはいられなかった。とつぜんのことで、はっきり記憶はないが、どうやら私は銀行のドアを開けて外に飛び出したらしい。しかし、気がつくと足元が定まらず、雨上がりの道路をぬかるみに投げ出されていた。
私は全身泥だらけになって、何度も立ち上がっては転び、転んでは起き上がった。そのうち、轟音とともに、銀行の化粧レンガがあたりに飛び散った。市電のレールが飴のようにねじれ、石だたみがあちこちではね上がるのを目にしながら、私は必死に下駄をもってよろけながら走った。”
地震が起きると、周囲は一変しました。人々は突然の揺れに驚き、避難を余儀なくされます。いつもの日常が失われ、何が起きているのか分からない不安が広がっていきました。
藤山の自伝から伝わってくるのは、後年の大歌手としての姿からは想像しにくい、ひとりの少年としての恐怖と戸惑いです。
関東大震災は、藤山一郎の少年時代に深い傷痕を残した出来事でした。
その体験を知ることは、歴史上の大災害を数字や年表だけではなく、実際に生きた人の視点から考えることにもつながります。
藤山一郎が目の当たりにした避難の混乱と家族の不安とは?
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震災後、東京では避難する人々があふれ、街は大混乱に陥りました。
藤山の自伝にも、避難先を求めて移動する人々や、家族の身を案じる様子が描かれています。
人々は安全な場所を求めて動きましたが、どこへ行けばよいのか、家族と無事に再会できるのか、確かなことは分かりません。
藤山自身も、周囲の状況を見ながら不安な時間を過ごしました。
さらに、地震による被害だけでなく、火災も大きな脅威となりました。
揺れが収まったからといって、必ずしも安全が確保されたわけではなかったのです。
大災害では、建物の倒壊だけでなく、火災や交通の混乱、食料などの不足も人々の生活を脅かします。
藤山の回想は、震災が一瞬の出来事ではなく、その後も長く続く不安と困難を伴うものだったことを伝えています。
藤山一郎が震災で失った大切なピアノ!音楽への思いをつなぎとめたものとは?
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藤山の自伝で、とりわけ心に残るのが、震災によって自宅が焼け落ち、大切なピアノを失ったことです。
音楽に親しんでいた少年にとって、ピアノは単なる家具や楽器ではありませんでした。
日々の暮らしの中で音楽を楽しみ、将来への思いを育む大切な存在だったと考えられます。
しかし、震災とその後の火災によって、家や家財だけでなく、愛着のあるピアノも失われてしまいました。
自伝には、失意の中にあった藤山を励まそうとする父親の姿も記されています。
その後、父親は藤山にバイオリンを買い与えました。
ピアノを失った悲しみがすぐに消えたわけではありませんが、新しい楽器は、少年が音楽への思いをつなぎとめるきっかけになったのでしょう。
後年、藤山一郎は日本を代表する歌手として活躍しました。
震災の経験がその音楽人生にどのような影響を与えたのかを断定することはできません。
しかし、大切なものを失った悲しみと、家族の支えの中で音楽を続けた少年時代を知ると、藤山の歩みをより深く感じられます。
まとめ
- 藤山一郎は、1923年の関東大震災当時、12歳の小学6年生でした。
- 自伝には、震災直後の混乱や避難生活、家族の不安が記されています。
- 地震後の火災によって大切なピアノを失い、少年時代に悲しい経験をしました。
- 父親がバイオリンを買い与えたことは、音楽への思いをつなぐ大切な出来事として描かれています。
- この体験を通じて、災害が人々の暮らしや心に残す影響について、改めて考えさせられます。
近年も地震は各地で発生しています。誤報に振り回されないことは大切ですが、誤報があったからといって、地震への警戒や備えまで緩めてはいけません。
公的機関から発表される情報を確認し、家具の固定、非常用持ち出し袋の準備、家族との連絡方法や避難場所の確認など、できることから始めましょう。
藤山一郎が自伝に残した関東大震災の記憶を、過去の出来事として読み流すのではなく、今を生きる私たち自身の防災を考えるきっかけにしたいものです。
参考文献:藤山一郎自伝~歌声よひびけ南の空に~
▼前回の記事(シリーズ番外編1)はこちら↓をご覧ください。
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